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2014年08月28日

トマト嫌いの国でトマトを売って大成功したカゴメ


手垢の付いた耳タコの話に
開発途上国で靴を売る話がある。


販売担当Aは、
「靴を履かない国では市場が無いので、
どうがんばっても売れない」
と言い、


販売担当Bは、
「誰も靴を履いていないので、
巨大な市場だ」と言ったというアレだ。


しかし、食品大手のカゴメは、
東南アジアで販売担当Bを地で
行った。


東南アジアでは従来、
野菜の豊富なこともあってか
トマトは人気が無く、


品質もよくないので「不味い」、
はては「臭い」といって
あまり食べないらしい。


しかし、カゴメはタイに乗り込み、
タイ中に無数にあるセブンイレブン全店に
カゴメのトマトジュースを置くことに
成功したのだ。


もちろん、宣伝はするのだが、
日本のトマトジュースをそのまま
持ち込んでは高いし売れるわけがない。


そこでカゴメは、タイの人達が
野菜に何を求めているかを
多くの家庭に訪問して聞き取り、
そこに答えを見出した。


タイの人は、トマトは嫌いだが、
「美白」とか「美容健康」には強い関心
があるそうで、そこに焦点を絞った
宣伝活動を展開した。


トマトには大量のリコピンが含まれ
「美白」や「美容健康」に効果があるとして


まず、リコピンが健康に良い
というCMを打った。


社名も商品名も出さないので、
タイの薬事法にも抵触しない。


その啓蒙が行き渡ったところで
今度は、カゴメのトマトジュースは
リコピンが多く含まれている
というCMを打ったのだ。


その効果は絶大で、
健康と美容大好きのタイ人は
トマトジュースを受け入れたのだ。


品質も良いから飲んでみれば
美味しく、好きになるという
わけである。


この種のビジネス成功談は、
よくあることだが、
整理すると大切なポイント
というのがいくつかある。


まずその第一は、
カゴメはトマトを売ったのではなく、
「美白」とか「美容健康」という要望に
応えたことである。


商品の販売戦略では
商品そのものに眼が行きがちだが、


カゴメの場合、その商品の本質
である「なぜ」に目を向けて
それに応えたのである。


第二は、日本での成功体験を
そのまま持ち込むことなく、
現地のニーズをよく調べ、
現地に合わせたことである。


これは当たり前のようでいて
実はなかなか難しい。


カゴメは当初は回り道であっても
じっくりと現地の家庭に密着し、
現地の「ならでわ」を調べた。


日本で外国の大型販売チェーンが
失敗するパターンとは好対照である。


第三は、今は市場が無くても
きっと売れるはずと考え、
その信念を曲げなかったこと。


新事業の場合、
多くは市場調査時点では
市場そのものが存在していない
ことが多い。


新事業の企画を社内に出す場合、
だいたいは市場性についての
レポートも提出させられるが、


本当に新規の市場である場合、
あれは無意味である。


これも有名な話だが、
ベルが電話を発明し、
大手企業に持ち込んだとき、
担当者に一笑に付されたという。


いわく「電話など誰も知らず、
ニーズもないから売れるわけがない」
と。


もちろん、多くの新事業は
結局市場も立ち上がらず、
泡のように消えていくものだが、


今、市場が無いからというのは
成功しない理由には全くならない。


日本の企業に、
カゴメのようなパッションが
あるかぎり、
日本の未来は明るいと思った。




  • Posted by グッドリスナー at 23:55│Comments(0)
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