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Posted by たまりば運営事務局 at

2015年01月12日

自己都合で退職した場合の教育訓練費返還規定は適法か

国内航空第3位のスカイマークが、
自己都合で他社へ転職する複数のパイロットに対し、
社内での「教育訓練費」約400万円を返還するよう
求めているそうだ。


パイロット不足を背景にした他社からの
引き抜きを防止するため、
入社時に教育費返還の承諾書を書かせている
ことから会社側が請求した。


しかしこれが適法かどうかは
微妙なところである。


たしかに新人の教育には多大なコストがかかる。


特に航空機のパイロットともなれば
稀少性の高い特殊技能だから通常の
新入社員教育とは比較にならないコストが
かかるだろう。


この件は裁判になっているらしいが、
争点は入社時の自己都合退社規定が
そもそも適法かどうかだろう。


私見だが、スカイマークのこの規定、
適法とはいえない気がする。


たしかに多大なコストをかけた会社側にとって
技能だけ習得しておいて、
さっさと辞められたら大きな損失だが、


職業選択の自由は憲法で保証されており、
退職理由が労働者側の意図的な行為であると
立証することは困難だと思う。


仮にこのような退職時に教育費用返還
のような規定が容認されるとなれば、


例えは悪いが、
江戸時代の花魁の足抜け規定を
適法とするのと同じことになってしまう。


江戸時代の花魁は、
本人の関与できないところで店に
多大な借金があることになっていて、
それを返却しないかぎり一生自由の身にはなれない。


これとて店側の言い分は
一人前の花魁にするためには子供の時から
稽古事など莫大なコストをかけているから当然
というものだ。


スカイマークは、すぐに辞めてしまう
ことを防止したいのなら
もっと別の手段で引き留めをはかるべきだった。


人が企業で働くということは、
あるいは辞めずに継続して勤めるということは、
何も報酬や待遇だけがモチベーションではない。


継続勤務の最も大きなモチベーションは、
そこに勤め続けることで自分自身が成長できる
と感じられることである。


今回の件のパイロット候補生も、
当初スカイマークから示されていたより
実際の搭乗機会がはるかに少なく、


このままでは機長資格取得に必要な飛行時間
を達成するのに何年も余計にかかってしまう
ということが発端だったと聞く。


航空産業のみならず、
今後他の産業でも中途転職が一般化した場合、
同じような問題が多発する可能性がある。


その意味で、今回の一件、
どのような司法判断が下されるか
興味深いところである。



  

  • Posted by グッドリスナー at 17:00Comments(0)時事ニュースから